bonyarifeminist’s blog

うすぼんやりとした自称フェミニストのブログ。こちらはバックアップ用。

私はフェミニストなのか?(2)

 20代後半になると、妹たちが次々と結婚しました。東京に出てきているのは私だけで、ふたりの妹たちは九州在住です。ふたりとも、地元で生まれ育った男性と結婚し、家庭を持つことになりました。

 妹たちが結婚するより前に、長女である私も一度目の結婚をしていました(と書くと、「あーこの人一回以上結婚してるんだ。やっぱフェミにかぶれた人は幸せな家庭を築けないんだね」という声が聞こえてきます。当たらずとも遠からず、ですね。でも、家庭を築くことだけが幸せではない、ということは言えます)。

 幸い(と何度書くんだ、という感じですが)、一度目の夫も(ということは二度目の=現在の夫も)、男だからこう、女だからそう、という思想の薄い人でした(まったくないとは言いません)。一度目の夫は学生で、仕事をしている私の帰りのほうが遅かったので、平日は夕食を作ってくれました(がその後、「毎日ごはん作るのストレスなんだよ!」と言われ、月曜から金曜はすべて外食、に切り替えました)。私の父のように、ずーっと座ったままで、母や娘に「お茶。タバコ。タバコ、言うたら灰皿も持って来る」と命令するようなこともありませんでした。わが家では、お茶もお酒も、飲みたい人が各自作っていました。いえ、白状すると、私はしょっちゅう「お茶飲みたいから淹れてよ」「あービール飲みたい。買ってきて」と夫に命令さえしていました。

 そんな感じでしたから、盆暮れに実家に帰り、妹たちの夫と会うのは衝撃的な体験でした。だって彼らは、私の父と同じくちーっとも動かないのです。こんにちわー、と玄関から入ってきて、両親にあいさつし居間にどっかと腰を下ろす。その後に妹たちがちっちゃい子どもを連れて入ってきて、子どもの手を洗ったり自分のコートを脱いだりしている間、夫たちは私の父と最近どーだのあーだのという世間話をしています。そうこうしているうちに、食卓には私の母の手料理(と魚屋さんに頼んでさばいてもらった刺身)が並び、男たちは酒盛りを始めます。女たち、つまり私の妹たちは、「おーいおかわり」「さしみしょうゆなくなったでー」「取り皿持ってきてー」「燗つけてくれー」という父や夫たちのリクエストにこたえながら、子どもたちの食事の世話をしています。

 私たち夫婦(元、ですが)には子どもがいませんでした。ですから私は「名誉白人」のような位置づけで、男たちの酒盛りテーブルに夫と一緒に座っていました。

 私の夫(たち、というべきか。だって2回結婚しているから)は、ビールが足りなくなれば自分で冷蔵庫に取りにいきますし、焼酎を割るための氷も勝手に取る。刺身にふつうのしょうゆ(九州ではさしみしょうゆを使うので)をかけたければ台所に取りに行きます。そんなの当たり前です。自分が欲しいものは、自分で取りにいけばいいんです。

 でも、当たり前ではなかったのです。妹たち(とその夫と子ども)が帰った後、両親と飲みなおしていると、父と母は必ず言います。

「あんたなあ、ちょっとは旦那さんの世話したりいや」

と。

 なんでも女がずーっと座って酒を飲んでいて、男が自分の食べたいものや飲みたいものを台所に取りに行くのはたいそう見栄が悪いのだそうです。え? 自分が食べたいものや飲みたいものを、自分で取りに行くのは当たり前のことではないの? 女はそれぞれ自助でやっているのに、なぜ男だけ特別扱いされないといけないの? しかも私の実家で?

 と思ったのが、私が男女差別だ! と憤り、フェミニズムに触れることになったきっかけです。