bonyarifeminist’s blog

うすぼんやりとした自称フェミニストのブログ。こちらはバックアップ用。

私はフェミニストなのか?(6)

 子どもがほんの赤ん坊のうちというのは、女性にとって残酷な時期です。女性から、すべての思考をうばってしまいたいがゆえに、赤ん坊はこういう構造なのか? と思ってしまうほどです。しかし、実際には産後2か月(私がまだ毎日泣き暮らしていた時期です!)で職場に復帰し、バリバリ仕事をしている人もいるのですから、一概に全ての女性にとって育児は地獄である、と語ることはできません。

 少なくとも凡人の私は、最初の2年間にわたってほぼ子どもにかかりっきりで、ほかのことを考える余裕などありませんでした。子どもの生後7か月で、奇跡的に保育園に空きがあり職場に復帰したものの、最初の1年は何が何だか分からないくらいのカオスでした。いつかかってくるかわからない保育園からのお迎えコールに怯え、出産前は読書に明け暮れていた往復の電車では、ほとんど居眠りしていました。子どもの夜泣きでこちらも慢性的寝不足になり、通勤電車で眠らずにはいられなかったのです。

 しかし、そんな時期もとにかくは過ぎ(=子どもが夜通し寝るようになり)、私もだんだん人としての思考力を取り戻してきました。そうすると、生活の中での些細なことが気になり始めました(またか、って感じですが)。

 出産前に転職して得たポジションは「秘書」です(そうです「美人」という枕詞の代名詞です。ですが、私が働く職場は大変地味なので、美人秘書なんてひとりもいません。ちなみに美人、と枕言葉がつくということは、ほぼ100%女性の仕事ですね)。前職での「労働時間=会社への貢献度」という姿勢に嫌気がさし、「なんで能力を売るべき仕事で、悪い意味で時間まで評価されないといけないの? もういいや、こうなったら単純に時間を売る仕事に就こう」と考えての転職でした。前職より確かに給与は下がりましたが、仕事内容はすこぶる単純明快。幸い職場の上司や同僚にも、前職でしょっちゅうあったような「人の足をひっぱる」タイプの人はまったくおらず(まあ、そりゃそうですよね。だって秘書はバイプレーヤーなのですから、足をひっぱる必要もありません)、まじで楽ちん、定時で帰れる、ばんばんざい、という感じでした。

 しかし、です。足はひっぱられなくても、秘書=女=ステレオタイプでしかものを考えられない差別男、は結構な割合でいたのです。

 たとえば私が妊娠した時。直属の上司は「戻ってくればいいよ」と言ってくれ、派遣会社に代理の人を探すよう依頼してくれました。よかった、マタハラにあわなくて……と安堵したのですが、そんな時ほかの部署のトップから言われました。

「妊娠したんだー。〇〇部の部長も残念だろうねえ。あなたがやめちゃうとねえ」

 ????やめるなんて誰も言ってないけど、と思い、「産休・育休とった後、私戻ってきますよ?」と言うと、戻ってくるというのが予想外だったようで、「ま、ほら、でも一度はいなくなるわけだから」と微妙にごまかされました。当時は、「やめるなんて誰にも言ったことがないのに、勘違いかな?」程度にしか思いませんでしたが、じっくり考えてみるとふざけた差別発言です。妊娠・出産した女は、全員仕事を辞めて家庭に入るとでも思ってるのか? と思いました。まあ、この方はそう思っているのでしょうね。

 けれども、それは所詮「隣の部署の上司が言ったこと」です。聞いてくださいよー、うちの社内にも、こんな性差別主義者がいるんですよー、とランチの席での笑い話になるくらいなことです(と言える自分の職場はありがたいと思います。そうではない職場のほうが多いと思うので)。

 最強の敵は、自分のごくごく身近にいたのでした。