bonyarifeminist’s blog

うすぼんやりとした自称フェミニストのブログ。こちらはバックアップ用。

私はフェミニストなのか?(1)

 両親ともにリベラルで、幼い時からフェミニズムの思想に触れて育った人もいると思います。残念ながら私はそうではありませんでした。

 思春期を迎えるまで、「学校」では男女の性差を感じることがほとんどありませんでした。もちろん男子はうるさい、掃除しない、授業中茶々を入れる。長女気質で体も大きかった私が、ほうきを持って「うるさいよー男子!」などという場面は数々ありましたが、それとジェンダーは結びついていません。幸いにも、女子だからこうしろ、ああしろと言うような先生もおらず、休み時間や放課後は男子と一緒にドッヂボールや缶けりに興じたり、将棋を指したりしていました。

 実際に「あれ?」と思うことが増え始めたのは、就職してからだと記憶しています。新卒で就職した会社も、その後転職した会社も制服はありませんでした。専門職だらけの業界で、一般職と総合職という職種の違いもなかったので、いわゆる「女子だからお茶くみやコピー」と言われたこともありません。そういう意味では恵まれていたのだと思います。

 けれども、いくら勤務先がジェンダー・イコーリティについて意識しなくて済む会社だからといって、まったく嫌な目に遭わないかというとそんなことはありません。

 24歳の時でした。連日23時過ぎまでの残業続きで身も心もクタクタ。会社のある駅から自宅までは地下鉄でたったの3駅ですが、その日は金曜日でした。ただでさえ混雑しているのに、金曜日で酔っ払いだらけの地下鉄に3駅乗るのが辛く、タクシーをつかまえることにしました。地下鉄で3駅。タクシー代は深夜料金加算でも2000円弱。当時の私でも充分払える値段です。何も毎日タクシーで通勤しているわけでもあるまいし。

 飯田橋の交差点でタクシーを止め、乗り込もうとすると、道を歩いていた50代とおぼしき中年男性と目が合いました。するとその男性が言ったのです。

「女のくせにタクシーなんかに乗りやがってよぉ!」

え? 女がタクシーに乗っちゃいけないの? 自分で稼いだお金なのに?

 

 その半年後のことです。両親に看取られて父方の祖母が亡くなりました。通夜の席で、葬儀会社の男性(おそらく30代後半だと思います)が、私と妹を見て言いました。

「では、女性の方はみなさんにお茶を淹れてください」

え? 飲みたい人が各自淹れればいいんじゃないの? なんで女はお茶を淹れろ、とあなたが言うの?

 

 しかし図体の割にぼーっとした私は、この時もまだ、自分の経験が女性に普遍的なものであるとまでは考えが至っていませんでした。「まあ、どこにでもいけすかんおっさんはおるからな」ぐらいで済ませていたのです。

 実際に私が「これはおかしいのではないか」と思い始めたのはその後数年して、妹たちが結婚し、妹の夫たちが実家を訪れるようになってからのことだったのでした。

 

※1/私の通っていた小学校で流行していた遊びです。学校から帰る通学路でしていました。小石をひとつ拾い、鬼の役の子がその小石を蹴って、ほかの子に当てます。みごと当てれば当てられた子が鬼になる、という他愛もない遊びです。